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五行怪異世巡『竜』 その①

「よォ、潜龍の。わざわざこの種枚さんを呼び出すたァ珍しいじゃーないの。何用だ?」
“潜龍神社”に訪れた種枚は、鳥居の前で待っていた平坂に軽く手を挙げて挨拶した。
「ようやく来たか、鬼子め。今回ばかりは貴様が最も都合が良いと思ってな。ついて来い」
平坂に先導され、種枚は神社本殿に向かった。
平坂が本殿の扉を叩くと、中から巫女姿の少女が現れ、2人に頭を下げてからその場を立ち去った。
「今の娘は?」
「俺の妹だ」
「嘘だァお前にあんな可愛い妹さんがいたのかよォー!」
「別にどうだって良いだろうがそんなことは。本題はこっちだ」
平坂が本殿内部を指す。種枚が中を覗くと、大黒柱の根元に何者かが縛り付けられている。薄暗がりの中目を凝らすと、それは和装姿の中性的な子供だった。
「……何だあのガキ。私の指定席に陣取るたァ良い度胸じゃないの」
「馬鹿言え、この神社で最も確実な収容場所というだけだ。……そしてあの子供、本人が言うところによると」
そこで一度言葉を切ってから、平坂は種枚に向き直って続けた。
「あれはこの神社の祭神らしい」

  • 五行怪異世巡
  • 水剋火
  • 妹とはあんまり似てない平坂=サン
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