不思議な少女に遭遇してから暫く。
わたし達は”彼ら”と穂積と雪葉と共にショッピングモールの片隅にある休憩スペースにいた。
「…へぇ、薄れているような異能力の気配、か」
ネロは丸テーブルに両肘をつきながら呟く。
「確かに変な感じはする」
「でしょ?」
雪葉はそう言って続ける。
「遠くにいる異能力者の気配が近くにいる異能力者のものより薄く感じられるのはよくあるけど…」
あんな近くにいて薄かったのは初めてだよ、と雪葉は頬杖をついた。
「うーん、何でなんだろう」
ヴァンプレスの仕業ってワケでもなさそうだし?と耀平は首を傾げる。
「そもそも寿々谷ではあまり見ないような異能力者だから正直よく分からないのよね」
だから情報屋のミツルにも聞きようがないし、と穂積はこぼす。
「結局、何なんだろうな」
謎は深まるばかりだぜ、と師郎は腕を組む。
その隣で黎は静かにうなずく。
わたし達は皆でうーんとうなった。