水が飛び跳ねる。シオンの右手、そして服が濡れた。
「……」
「シオンさん?どうかいたしました?」
「リサちゃん、私突拍子もないこと思いついちゃったよ」
シオンが水道からゆっくり離れる。その右手には多数の切傷、制服のシャツは局地的にぼろぼろになっている。
「そ、そのお怪我は…」
「あのね、多分なんだけど…水が問題なんじゃないかな」
「えっ?」
シオンがいつのまにか傷の癒えた右手でエリザベスの手を掴む。
「さっき言ってた鏡の噂なんだけどさ、よく考えたら怖いものみたさでその踊り場に行きたくても、先生の強力な魔法で規制かかってるから行けないはずなんだよね」
「初耳ですわ…」
「だから、別の鏡にも問題があるんじゃないかなとか思ったんだけど、今分かった」
「なにがお分かりになったの?」
「水が攫ってるんだよ。あの規制されてる踊り場のところね、雨漏りしてたの思い出した」