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ロジカル・シンキング その⑪

「〈Parameters〉」
炎の中を駆けるアリストテレスの手の上に、魔力塊とウィンドウが再び展開される。
(威力を光と音に振って、射程を削る。代わりに硬度に振って安定化……射撃じゃなく、投擲を主体としたプリセット)
「〈Preset : Stan Grenade〉」
炎の向こうにいるであろう怪物に向けて、手の中に生成された拳大の楕円球を投げつけた。
強烈な光と甲高い音が炸裂し、怪物の注意はそちらに向かう。しかし命中したのは怪物の位置からは僅かに外れた瓦礫の山であり、怪物はすぐにアリストテレスを探し始めた。
それを物陰から観察していたフレイムコードは、ニタリと口角を上げた。
(…………あー、なぁるほどぉ。ヒオ先輩が言いたかったこと、なーんとなく分かっちゃった。『火炎』を使う私だからこそ、この場でできる事。普段は周りを焼きかねないから、簡単には使えない私の『魔法』。けど……今は周囲が炎で埋め尽くされている。他人が生み出した炎を操るのは流石に私にも無理だよ? けど!)
「同じ炎なら『飲み込める』! なんてったって私は、炎を自在に奏でる魔法少女【フレイムコード】なんだから!」
フレイムコードがスタッフを振り回し、炎の帯を数本展開する。それらは渦を巻きながら周囲の火の海に突っ込んでいき、その勢いで巻き込むように取り込み、その勢いを増しながら変形していった。
周囲の火炎の挙動の不自然さに気付いたのか、怪物はフレイムコードに意識を向ける。しかし、その姿は炎のうねりに目隠しされて目視できず、滅多矢鱈と振り回した尾も直撃には至らない。
「ひひ、こっちに気を取られてて良いの? 私はただ、『火を揺らしている』だけなんだよ。お前が私達の姿を見られないように。『先輩がお前を狙う邪魔になる壁』を剥がせるように!」
怪物の頭の周囲を取り巻いていた炎が一瞬揺らぎ、その隙間から魔力性の閃光弾が投げ込まれ、怪物のまさに眼前で炸裂した。周囲の炎を更に上回る光量を瞬間的に浴びた視覚は瞬間的に麻痺し、それによる動揺か、怪物は一層激しくその場で暴れ狂う。

  • 魔法少女学園都市
  • 自信は大事。
  • 弾倉が半分埋まったね。
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