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回復魔法のご利用は適切に_9

シオンの言葉は突拍子もなかったが、エリザベスは何も言わずにそれを信じた。
「シオンさん、ご存知かしら。魔法には射程距離がありますの」
「え、なに?射程距離って?」
「この手の魔法は、いえ、例外もあるのだけど…まあまず使用者はそんなに遠くにいないはず。射程距離の短い、パワー振りの魔法と見ましたわ」
「すごいねリサちゃん、そんなことわかっちゃうんだ!」
「ふふ、光栄ですわ!って、そんなこと言っている場合じゃありませんのよ!?水の速度自体は大した速さではありませんけれど、蛇口という蛇口が開いて水かさが増してますわ!」
どばどばと音がして走る二人を水が追ってくる。
「ああ〜…うーん…どうしよう、この先の水道も開いちゃってるのかな…」
「はあ…はぁ…ま、まさか水から逃げる日が来ようとは…速いですわ…水って恐ろしいのね…」
シオンは既に息切れしているエリザベスをおんぶして職員室へ走った。

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