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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑧

不思議な少女と再会してから暫く。
なんだかんだで少女と共に行動することになったわたし達は、いつもの駄菓子屋の前にいた。
「ここが駄菓子屋かー」
ここに来る途中で鯨井 あま音(くじらい あまね)と名乗った彼女は、駄菓子屋の店先を物珍しそうに眺めた。
そんな彼女を尻目にネロ達はいつものように店内に入っていく。
わたしもあま音さんも彼らに続いて中に入った。
「なんか、絵に描いたようなお店だね~」
すごーい、とあま音さんは商品が所狭しと並んだ店内を見渡しながら呟く。
「そうですか?」
「うん、すごいよー」
わたしの言葉にあま音さんは笑顔でうなずいた。
「わたしも昔はここに来てたのかな~」
あま音さんは駄菓子が平置きされた台を覗き込む。
彼女の言葉に相変わらず違和感を抱きながら、わたしは彼女の横顔を眺めていた。
「…お前、駄菓子は買わないのか?」
ふとネロに尋ねられて、わたしはハッとしたように顔を上げる。
そう言えば駄菓子屋に来ていたのに何も選んでいなかった。
その事に気付いたわたしは、慌てて品物を選び始める。
そしてわた選んだ物をレジに持って行って会計を済ませた。
あま音さんもそれを見てわたしに続いてレジに向かった。

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