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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑨

「…やっぱり、あの子変な異能力の気配がする」
わたしが駄菓子を買って店の外へ出た所で、雪葉はそんな事をネロ達と話していた。
「まぁ確かに、あの女からはうっすらと異能力の気配がするけど…」
別に気にする程でもなくない?とネロは言いながら、買いたてのココアシガレットの箱を開ける。
「そうなんだけどさ」
気になるじゃん?と雪葉は頭をかく。
「もしかしたらヴァンピレスと関係あるかもしれないし」
雪葉がそう笑うとネロは少し顔をしかめる。
「…さすがに寿々谷の外から来てるみたいだからそんな事ないと思うんだけど」
ネロの言葉に、彼女の隣に立つ耀平はだなとうなずく。
「あのヴァンピレスが寿々谷の外で活動している話なんて聞いた事ないし」
てか何でも奴と結びつけんなよ、と耀平は呟く。
雪葉はごめんごめんと苦笑した。
…とここであま音さんがわたし達の元へやって来た。
色々と駄菓子を買ったのか、その右手には中身の入ったビニール袋がさがっている。
「皆、何の話してるの?」
何か寿々谷がどうとかって聞こえたけど、とあま音さんは尋ねる。
わたし達は一瞬どきりとしたが、すぐに機転を利かせた穂積がこう言いだした。

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