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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑩

「あー、皆で寿々谷の街について語ってたんですよ~」
ねー?と穂積が皆に目を向けると、あ、うんとかお、おうとかとそれぞれぎこちない返事をした。
あま音さんはそれに違和感を感じなかったのか素直にへーとうなずいた。
「…皆は、寿々谷にずっと住んでるの?」
突然妙な事をあま音さんが言い出すので、わたしはま、まぁ…と答える。
あま音さんはそれを聞いてそっか~とまたうなずく。
そしてこう言った。
「じゃあ皆に寿々谷を案内してもらおうかな⁇」
「え」
思わぬ言葉にわたし達はポカンとする。
「ちょ、ちょっと時間いい?」
耀平がそう聞くと、あま音さんはいいよと笑顔で答える。
するとすぐに彼らはあま音さんに背を向けて話し始めた。
わたしもネロに腕を引かれて一旦後ろを向く。
「なぁ、これちょっとどうすんの⁈」
「知るかよ!」
耀平とネロはそれぞれそう言い合う。
「そもそもの話、コイツがあの人を駄菓子屋に誘ったのが悪いんじゃないの⁈」
ネロはわたしを指さし口を尖らせる。
わたしはえっわたし⁈と驚く。

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