気に障ったので、夕飯は先に頂くことにした。
「頂きます...」
荒廃した都市のど真ん中で、黙々とパンを頬張る
少女。
どこまでも異常で、果てしなく美しい光景。
恐らく、夕日のフィルターのお陰だ。
カナが夕飯を食べ終えてしまっても、エミィが目覚める様子はない。
仕方がないので、手近なビルの中を覗く事にする。
割れたショーケースの中には、色褪せたドレスやヒール、ぼろぼろのマネキン(かなりホラー)などががあった。
その中の一つに、人が入っていた。
正確には、入っていたというより、突っ込んで
いた。