0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑫

それからわたし達はあま音さんを連れてあちこちを周った。
…とは言っても寿々谷駅の周辺位だけだが。
何と言っても寿々谷市は広さの割に”名所”と言える場所が少ないのだ。
せいぜいある名所も寿々谷駅の周りに集中している位である。
だからわたし達は寿々谷駅の辺りの名所をひたすら巡っていた。
「へー、あま音さんて浅木小に通っていたんですね~」
「そうそう、小4の時までね」
「わたしも浅木小でした」
「本当?」
ネロ達と共に寿々谷の名所の1つ、寿々谷神社から市民の憩いの場、寿々谷公園に向かって歩く中、わたしとあま音さんは出身小学校の話で盛り上がっていた。
「じゃあ校庭の端っこにあるウサギ小屋とか覚えてます?」
わたし、あそこのウサギが好きで…とわたしが言いかけた所で、あま音さんはうーんと立ち止まる。
「私、当時の事覚えてないのよね」
「え」
わたしは思わずポカンとする。
周りの皆もふと立ち止まって振り向いた。
「それって、どういう」
「まぁ何て言うか…私、ある一時期以前の記憶が欠けてるんだよね」
あま音さんは淡々と続ける。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。