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五行怪異世巡『こっくりさん』 その③

犬神に指示された当日。平坂は指定された時間の20分前に、中学校の正門前に到着していた。
「ん、神職さまは思ってたより早い到着だったね。入って来て良いよ」
その学校の制服であろうセーラー服姿の犬神に手招きされ、校門をくぐる。そのまま校舎に入り、廊下を進み階段を上り、3階のとある教室の前で立ち止まる。
「とうちゃーく。2年3組の教室でーす。被害者連中には集まってもらってるから、早く入ろう」
扉を開けようとする犬神の肩を掴んで、平坂が制止した。
「ん?」
「これを持っておけ」
そう言って平坂が差し出したのは、小柄な犬神の掌にもすっぽりと収まるほどの、小さな巾着袋だった。
「何これ、おまもり?」
「いや、何の変哲も無いただの砂だ」
「……なんで?」
「要らなかったか?」
「…………要る」
「だろうな」
「ありがと」
「早く入れ」
平坂に急かされ、犬神は頷いて勢い良く引き戸を開いた。

  • 五行怪異世巡
  • なんのかの言っても潜龍のは大人なんすよ
  • 珍しく制服姿の犬神ちゃん
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