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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑭

そうこうしている内に、わたし達は寿々谷公園に到着した。
休日の人々で賑わう公園内を周りつつわたしは昔の話をあま音さんとしていたが、あま音さんはことごとく覚えていないようだった。
周りの皆はそれを不思議そうな目で見ていたが、ネロだけはなぜか周囲を気にしていた。
「…今日はありがとうね」
色々とわがままに付き合ってもらっちゃって、とあま音さんは日の暮れかけた公園の隅のベンチで言う。
公園にいた人々は少しずつ帰り始めており、辺りの人気は減りつつあった。
「いえいえ、別に良いですよ」
わたしも楽しかったです、とわたしはあま音さんに笑いかける。
「…おれ達は付き合わされてただけだけどな」
しかし耀平はふてくされたように呟き、その隣に立つ黎はうんうんとうなずく。
わたしはそれを見て苦笑した。
一方そんな中でも、ネロは何かに警戒するかのように辺りを見回していた。
「お待たせ~」
…とここで、穂積と雪葉がお手洗いから帰って来た。
「あ、おかえり~」
「じゃあそろそろ行くかね」
耀平と師郎はそれぞれそう言う。
わたしもそうだねと言ってベンチから立ち上がろうとした。
その時だった。

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