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魔法をあなたに その③

サテサテ待つこと時計の長針1周分。
よーやっと好みの人材が出てきやがった。見るからに陰気臭せェ女生徒が1人、周囲を気にしながらそそくさと出て敷地外目掛けて一直線ってなワケですよ。
『……当ォー然、声かけるよなァ、えェ?』
ヤツの背後をついて行きながら、ひとっ気の無い場所に入るのを待つ。
辛抱強く待つこと10分チョイ、遂にチャンスが訪れた。ヤツが団地の中に入っていった。
そのまま不気味なほど静かな細い道に入り込んでいったタイミングで、声を掛ける。
『よォ、そこの陰気なお嬢ちゃん』
たしかに魂が足りてねェせいで大それたマネはできねェが、人間の頭に直接声を届けるくらいはオイラ達の生物学的標準機能だ。
オイラの声に気付いたあの娘は、仰天したみてーに足を止め、キョロキョロし始めた。
『今はテメェの頭ン中に直接語り掛けてるンだよ』
「だ、誰⁉ 誰なの⁉」
『えェイ落ち着け! テメェ今、周りから見りゃ完全にヤベェ奴だゼ』
「ぅっ……」
『よォし良い子だ落ち着け落ち着け。深呼吸しろシンコキュー』
ヤツがそれなりにリラックスするのを待ってから、会話を再開。
『安心しろヨ、今テメェに語り掛けるこの声は幻聴でもイマジナリー・フレンドでも何でも無ェ、純然たるマジモンだぜ。まずはソコを受け止めてもろて』
ヤツはおずおずとって感じで頷いた。これで先に進める。

  • 魔法少女学園都市
  • その鉤括弧そういう意味だったんですね
  • せい……ぶつ……? いやまあ悪魔も生きてるか……
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