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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑯

耀平は気にせず続けた。
「…あの人、本人が気付いてないだけで多分異能力者だ」
うっすらながら気配があるし、と耀平は付け足す。
「でもその事をなぜか忘れているから、下手に異能力の事を知らせたら混乱する」
だからお前が連れて逃げてくれ、と耀平はわたしに懇願する。
「…分かった」
有無を言わせぬ耀平の口調に気圧されたのと、せっかく仲良くなったあま音さんを守りたいと思ったから、わたしはうなずいた。
そして、行きましょうとあま音さんの腕を掴むと、わたしはその場から走り出した。

こうしてわたしとあま音さんは公園から逃げ出した。
あま音さんはちょっと待って!とわたしを止めようとするが、わたしは立ち止まらずに無心で走り続けた。
やがて寿々谷公園から少し離れた所にある川にかかる大きな橋にわたし達は辿り着いた。
「ここまで来れば大丈夫かな…?」
わたしが橋の中程で立ち止まると、すっかり疲れてしまったあま音さんは膝に両手を当ててへたっていた。

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