「…さぁ、自分が何者か忘れた異能力者さん」
ヴァンピレスはわたし達に向けていつの間にか出していた具象体の白い鞭を向ける。
「わらわの餌食になって?」
そう言ってヴァンピレスはわたし達に向かって白い鞭を振るう。
わたしは咄嗟にあま音さんの腕を掴みわたしの背後へ移動させた。
「⁈」
ヴァンピレスの鞭はぴたりとわたしの目の前で止まる。
「…何、貴女」
彼女を守る気?とヴァンピレスは首を傾げる。
「…そうだよ」
わたしは恐怖をこらえつつ言う。
「この人は…あま音さんは、わたしの友達だから」
だから、あなたには手を出させないとわたしは力強く言い切る。
「サヤカちゃ…」
後ろであま音さんが言いかける声が聞こえたが、言い終わる前にそれは途切れた。
わたしがパッと振り向くと、あま音さんはしゃがんでうずくまっていた。