0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑱

「あま音さん?」
わたしが思わず声をかけてもあま音さんは反応しない。
「…何、これ」
私は…とただあま音さんは何かを呟くばかりだ。
「あの、大丈夫ですか?」
あま音さ、とわたしが話しかけようとした時、何ですの⁇と後ろから声が聞こえた。
「茶番はおやめにしてくださる?」
ヴァンピレスの言葉にあなた…とわたしは語気を強める。
「あま音さんは、あま音さんは…!」
わたしがそう言いかけた時、不意にサヤカちゃんとあま音さんのしっかりとした声が聞こえた。
わたしが振り向くと、あま音さんはよろよろと立ち上がっていた。
「あま音、さん?」
わたしが驚きつつ尋ねると、あま音さんはゆっくりと顔を上げた。
その目は、薄い緑色に輝いていた。
「…思い出した」
彼女はポツリと呟く。
「私が何者であるか、何で記憶をなくしたのか」
全部、全部と彼女は言いながらヴァンピレスに近付く。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
  • 来週新企画を始めようと思っていることを
  • とりあえずお知らせしてみる
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。