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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ㉑

「記憶を消すって言ったって、貴女の記憶さえ奪ってしまえばわらわの勝ちよ!」
この…とヴァンピレスは白い鞭を出しながら言いかけるが、不意に彼女の後ろからおい!と聞き覚えのある声が聞こえた。
ヴァンピレスが振り向くと、そこにはネクロマンサー達が立っていた。
「貴女‼」
わらわの分身で足止めしたはずじゃ…とヴァンピレスは驚く。
ネクロマンサーはは?と首を傾げる。
「アンタの分身なんざさっさと倒したよ」
具象体の刃が当たったら消えたから、まさかと思ってコマイヌの力も借りて探したんだと隣に立つコマイヌにちらと目を向けた。
「そしたらまさかアンタが追い詰められてるなんて」
良い気味だなぁとネクロマンサーはにやける。
ヴァンピレスは何よ!と言い返す。
「明らかに異能力の存在を忘れている異能力者の異能力を奪おうと近付いたら、まさか思い出すなんて思ってもみなかったのよ⁈」
仕方ないじゃない‼とヴァンピレスは赤くなる。
「もういい‼」
帰るわ!と彼女はわたし達の方を向くとパッと姿を消した。
そしてわたしの真横を走っていくような足音だけが聞こえた。

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