0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ㉒

「…アイツ、顔赤くするんだな」
「だね」
いつの間にか異能力を使うのをやめた耀平は、同じく異能力を使うのをやめたネロにそういって顔を見合わせる。
「…それにしても」
ここで師郎が耀平とネロの肩に手を置く。
「お前さん達、大丈夫だったかい⁇」
そう言って師郎はわたし達に目を向ける。
わたしはハッとしてティアマトの顔を見る。
その頃にはもう彼女の目は光っていなかった。
「?」
あま音さんはちらとわたしの顔を見て微笑む。
「大丈夫よ、サヤカちゃん」
私は平気だから、と彼女は続けた。
「ま、それならいいか」
師郎はわたし達2人の様子を確認するとくるりと背を向ける。
「じゃ、そろそろ帰りますかね」
もう日が暮れかけているし、と師郎は呟く。
だなとかそうだねと言いながら、ネロや耀平、黎、穂積、雪葉は彼に続いた。
わたしも彼らに続こうとしたが、不意にあま音さんがサヤカちゃん、と呼び留めたので立ち止まって振り向く。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。