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五行怪異世巡『きさらぎ駅』 その③

2人が入った車両には、他に乗客が4、5人ほど座席に座っていた。2人も乗降口の近くの席に座る。
程なくして、青葉がこくり、こくりと舟を漕ぎ始めた。
「……ねぇねぇアオバちゃん」
「…………はぃ?」
小声で問いかけられ、青葉も呟くように反応する。
「ずいぶん眠そうだね?」
「まあ…………はい……」
「夜更かしでもした?」
「昨日は別に……」
(他の日はしてることもあるのかなー)
考えているうちに、青葉は再び寝息を立て始めた。
「あらら、また寝ちゃった。子供は体力が切れるとすぐ寝ちゃうもんなー」
苦笑しながら、白神は青葉をつつき回す遊びを再開した。

「……ーぃ、おーいアオバちゃん」
どれほど経った頃か、白神に揺り起こされ、青葉は目を覚ました。
「ん……もう、着きました?」
「いやー? なんか変な感じ。でも、そろそろ停まりそうだよ?」
白神が指す先、車窓の外を見ると、日が暮れた後なのか既に真っ暗になっていた。
周囲を見回すと、車両内の人数は乗車直後とさほど変わってはおらず、どの乗客も座席に深く座り込んで居眠りをしているようだった。
「もうこんな時間ですか……わぁっ⁉」
まだ眠たげに目をこすっていた青葉が、突然座席から飛び出すように倒れた。
「え、アオバちゃん? そんなに揺れた?」
「いえ、そういうのじゃ……」
青葉が立ち上がろうとしたとき、電車が急ブレーキをかけて止まり、慣性で青葉は再び床上を転がった。

  • 五行怪異世巡
  • 子どもって電池切れたみたいに眠るよね
  • 刀さえあれば……!
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