チトニアは少々強引に契約を提案してきた。
「…まあ、いいよ」
「良いのー!?やったー!!」
チトニアは嬉しそうにはしゃぎ、梓に思い切り抱きついた。首が締まってかなり苦しい。
「くっ…ぅ…しぬ…」
「うわわ、ごめんね梓!大丈夫?」
心配そうな声と同時に温かい感覚で体が包まれ、傷が塞がる感覚があった。『すごい勢いで傷が塞がる』という新感覚にぞわっとしたが痛みは引いた。
「すごいな…チトニア魔法でも使えるの?」
「まあねー!その目はちょっと私には治してあげられないから、さっきも言った通り私が目に『なって』あげる」
「それどういうこと?」
「右手で目を覆ってみてくれない?そしたら、私の目を貸せる」
梓が言われた通り右目を覆うと、その瞬間に視界が見えていた頃に戻った。視力はむしろ回復していた。
「うお!すご!!ていうかチトニア初めて見た!もしかして年上?」
チトニアは艶やかな淡い金髪と背の高さの割に小柄な印象を与える体が特徴的な可愛らしい少女だった。
「年は気にしないで〜。私の名前ね、ニトベギクって意味なんだよ!別名『皇帝ひまわり』。改めてよろしくね!」