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Flowering Dolly:アダウチシャッフル その①

ビーストの出現に市民が逃げ惑う中、少女はただ1人、怪物に向けて迷い無く突き進んでいた。
「……チッ、『あれ』じゃないのか。まあ良いや」
少女は肩に担いでいた片手剣を、九頭竜のような外見のビーストに突き付けた。
「どうせビーストには変わりないんだ。人類の敵が。ブチ殺してやる!」
手の中の小さな球体を地面に叩きつける。すると、そこから白煙が広がり、辺りを覆い隠した。その中に紛れて、少女はビーストの背後に回り、斬りつけようとする。その横合いから、ビーストの首の一つが彼女を轢き飛ばした。少女はそれを剣で受け、辛うじて受け身を取る。
「くそっ……重い。流石に全方位警戒してるか……」
肩掛け鞄から手榴弾を取り出し、離れた場所に投擲する。ビーストがそちらに注意を向ける気配を感じながら、それとは反対側に回り込み、再び斬りつける。その攻撃は見事、ビーストの胴体に命中したものの、厚く硬い鱗に阻まれ、有効打とはならなかった。
「クソ、硬った……あっまずっ」
脇腹にビーストの尾が叩きつけられ、弾き飛ばされる。直接的なダメージに加え、建物の壁に全身を強く打ち付け、衝撃で呼吸が止まる。
(っ…………クソッ、身体が動かない…………痛覚が邪魔だな……)
ビーストがにじり寄ってくるのを、流血で潰れかけた目で睨み返しながら、少女は力の入らない腕を地面につき、立ち上がろうと苦心する。
ビーストの首の1つが少女に向けて伸びてきたその時、彼女の背中を何者かが軽く叩いた。ビーストの攻撃が命中する直前、少女の身体は数m離れた地点に瞬間移動していた。
「…………やっ……と、来たか……遅いんだよ……」
「あなたがせっかち過ぎるだけですぅー。まったく、勝手に私の武器持っていったでしょ」
言い返しながら少女を助け起こしたのは、彼女とおおよそ同じ体格の、紅白の防寒着に身を包んだ緑髪のドーリィだった。
「まあ良いや……ビーストだ。私追い求めていたヤツとは違うけど、せっかくだから」
少女の差し出した右手に、ドーリィが左手を叩き合わせる。
「手ぇ貸せ、相棒」
「手といわず、いくらでも。キリちゃん」

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  • この少女、ただの人間なんだぜ?
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