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皇帝の目_3

チトニアは機嫌良く窓を開けた。
「あのね梓、私と契約したからって無理に戦わなくても良いんだよ」
梓を病院送りにした大型のビーストは駆除されたようで、倒壊した建物の復旧の様子が見えた。
「やらなくていいならやらないよ、私貧弱だし」
梓はそう言うと目を覆っていた手を外した。
「あら、良くなった?」
看護師が入ってきたらしい。彼女はこうしてたまに水を飲ませてくる。
「ん。…外出て良い?」
「だめよ。療養期間は終わってない」
「…あそ」
蛇口をひねる音がした。
「…あら?変色してる…?異臭も…やだ、なにこれ虫?…あ、違、」
チトニアも言葉を失っている。ただ事ではない!「…梓、ビーストだよ…病院に、この病室に、水道管を通って…小型のビーストが来たんだ!」
視界を復活させると、蛇口から鉛筆くらいの太さの腕が生えていた。それも、人間の腕…。異様に細長い人間の腕が腰を抜かした看護師の頭に、オレンジ色の液体を滴らせている。
「きもい…それに戦うのめんどい…」
言葉にしてみたら更に嫌になった。
「…でも、水質汚濁の方が私は嫌だ!えのきみたいな見た目しやがって、土に還してやる」

  • Flowering Dolly
  • 戦闘シーンは、そこだけは頑張る
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