「まぁ今“学会”が直面している問題は、魔術師の派閥云々の話じゃないのだけど…」
ピスケスはそう言いながらテーブルに伏しているナツィの方を見やる。
いつの間にか、ナツィは目を覚ましていた。
「あら、起きたみたいね」
ピスケスがそう言うと、ナツィはちらとそちらの方に目を向ける。
「…なんだよ」
ナツィはピスケスを睨みつける。
ピスケスはふふふと笑った。
「ちょっと“学会”の話をしていてねぇ」
ピスケスの言葉にナツィはふーんと返しながら起き上がる。
「…最近話題の“魔術師を襲う人工精霊”の話か」
ナツィがそう言うと、あら察しがいいとピスケスは驚く。
ナツィはそりゃ知ってるとテーブルに頬杖をついた。
「“学会”所属の魔術師を襲って回る人工精霊の集団」
それもどうやらどこかの魔術師の所から逃げ出したような奴らしいな、とナツィは呟く。
ピスケスはそう、と頷く。
「だから“学会”は今度、拠点のある街へ行くらしいんだけど」
私たちも動員されるのかしらね、とピスケスは首を傾げる。
ナツィはそんなん知るかよ、とピスケスの方に目を向ける。