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五行怪異世巡『きさらぎ駅』 その⑤

白神が足元を照らしながら、2人は街灯すら無い暗闇の中を進む。道に沿って歩くと、小さな商店、廃業したコンビニエンスストア、人の住んでいる気配が無い何軒かの民家が見られた。
「すっごいド田舎だぁ」
軽い口調で言う白神の袖を握りしめたまま、青葉も答える。
「何か、不気味ですね」
「このまま奥へ進むほど、なんだか引き返せなくなりそうな気がしない?」
「……怖いこと言わないでください」
2人は一度立ち止まり、駅の方へ振り返った。駅舎は暗闇の中に沈み、輪郭もぼんやりとしか見えない。
「……1度戻ろっか?」
「そうしてもらえると助かります」
「その前に……もしかしたら一瞬痛い思いするかもだけど、ごめんね?」
白神がそう言ってスマートフォンを、青葉が掴まっている左手に持ち替えてから右手を掲げた。その周りにパチパチと音を立てながら電光が走り、その手を前方に向けると、駅の方に向けて雷のように電撃が走っていった。その光に、来た道が一瞬照らされる。
「うん、道はまだちゃんとある。少し急ごっか」
2人は駆け足で駅舎の方へ戻り、無事に辿り着いた。
「さて……どうしようね。振り出しに戻っちゃった」
「状況が悪化するよりはマシだと思いましょう」
「そうだね。……ところでアオバちゃん?」
白神が、青葉の背後を指しながら尋ねた。
「その子、誰?」

  • 五行怪異世巡
  • まあ子供だし怖いよねぇ
  • 暗所で微妙に便利なメイさん
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