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皇帝の目_5

さてどうするか…梓は暫く思案する。どこが弱点なのか全く分からない。攻撃方法も分からない。だがどちらにせよ確認するためにも軽い刃物が欲しい。
「チトニア、片手で持てる刃物とかない?」
「うーん、果物ナイフで良ければ…」
「ないす」
ビーストはこちらを疑うように距離を取りすぎず詰めすぎずで、先程叫んだ以外に目立った行動をしていない。ビーストの大体真ん中に向けてアンダースローで果物ナイフを投げる。
「ヨ…ケル…」
ビーストは全ての腕を床に付け、関節を曲げて反動で後方に跳ね、果物ナイフを避けた。
「えーしゃべったぁ…」
「うわぁ…」
ビーストはゆったりとした動きで、こちらへ向かってきた。
「果物ナイフ」
「はい」
梓がアンダースローの構えをすると、ビーストは突然移動速度を上げて飛んできた。
「うおっ!?」
あまりのスピードに間に合わなかった。ビーストが細腕を左右に分けると、その中から1つの目が現れた。目が合った。咄嗟に視界を見えないようにしたが遅かったらしい。
「梓!」

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