「ぐふっ」
相手は思わず力が抜けてしまう。
その瞬間を見計らったナツィは短剣で相手の太刀を弾き、横に転がって相手の拘束から抜け出した。
そして大鎌を生成して相手に向ける。
「…俺をナメるなよ」
これでも俺は、とナツィが言いかけた所で部屋の扉がゆっくり開いた。
パッとナツィたちが振り向くと、そこには帽子を被った背の高い老人が立っていた。
「…あ」
ナツィが思わずそうこぼした時、太刀を持った人物と魔力式銃を持った人物はバッと部屋の開いている窓に向かって駆け出す。
それに気付いたナツィは待て!と止めようとしたが、2人はあっという間に窓から部屋を飛び出していった。
「…」
その場に残された2人の間に微妙な沈黙が流れる。
「これは、一体」
沈黙に耐え切れなくなったのか、老人が不意にポツリと呟く。
しかしナツィは振り向かずに黙ったままだ。
老人は部屋の中に少し立ち入る。
「…きみは、大丈夫かね」
老人がナツィを心配すると、ナツィは別にとだけ答えた。
「そうか」
老人はそう答えて部屋を見回す。
乱闘騒ぎがあったとはいえ、部屋の中はそこまで荒れてはいなかった。