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魔法をあなたに その⑬

怪物の倍くらいはある体格の犬のバケモノの顎の中で、怪物がじたばたと暴れている。このままじゃアッサリ噛み殺されちまう。
『……オイ【フォーリーヴス】。何寝てンだよ。せっかくのテメエの初陣だぞ。ドコのダレとも知らねェヤツらに横取りされてんじゃァねえぞ』
せっかくオイラが呼びかけてやっているのに、ヤツは倒れたまま動かない。
『……クソが!』
ヤツの近くに飛んでいき、ヤツの身体を媒体にして魔法を使う。【フォーリーヴス】の障壁刀と同じ理屈だ。犬のバケモノの首のところにバリアを展開し、ブッタ斬る。
「なっ……⁉ 何が起きて……!」
結界の外で、犬を召喚した方が何か言ってる。そうだ、コイツらにはしっかりはっきり文句言ってやらねェと。
『テメェら……ドコの雑魚に唆されたか知らねェがよォ……』
「なっ、誰⁉」
「この感覚、おリトさんと同じ……!」
“おリトさん”だァ? それがコイツらを“魔法少女”にしたヤツの名か。まあそれはどうでも良くて。
『コイツはなァ! オイラの【フォーリーヴス】の初めての獲物なんだよ! 【フォーリーヴス】はこの程度、楽勝でブッ殺せンだよ! 他人の事情も知らねェで、手柄奪おうとしてんじゃアねェぞクソガキ共が!』
「……ぅ…………」
ヤツが、【フォーリーヴス】のうめき声が聞こえた。意識を取り戻しやがったか!
『クキキ、どうだ見やがれクソ共が。オイラの魔法少女は強えェンだよ』
ヤツが立ち上がる気配。
『テメエらの出る幕なンざ1ミリだってありゃアしねェンだ! 失せな!』
オイラが啖呵を切ると、黒ワンピの方の魔法少女の頭にヘドロみてェな色したタコさんが落ちてきた。
『【ティンダロス】、【ナイトゴーント】、ここは退こう。あれはワタシより古く上位の存在だ』
「えっあの小悪魔みたいな子が?」
『ウム。ワタシは未だ百数十年の命でしか無い……アレは少なくともワタシの数十倍の時を生きている。ワタシ達は年功序列を重んじるのだヨ』
「あっはい……」
あのタコ野郎の説得のお陰で、邪魔者は消えた。
『サァ、あとはテメエが気張るだけだゼ、【フォーリーヴス】! やれるモンならやってみろ、クソヒーロー!』

  • 魔法少女学園都市
  • 久しぶりに続き書きますねェ
  • ク・リトル・リトルのおリトさん
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