「ところでカオルちゃん」
「何?」
「何か今の状況を打破する方法とか、思いつかない?」
白神の質問に、カオルは一度、青葉を抱き締めていた腕を解き、手を顎に当てて思案した。
「……そうだな。無いわけじゃ無い」
「カオル、本当?」
「もちろん本当だよぉワタシの可愛い青葉ぁ、ワタシに任せてくれれば、ちゃんとワタシの可愛い青葉を生還させてみせるから! ……と言いたいところなんだけど」
青葉の質問に、彼女を抱き締めながら答え、もみくちゃに撫で回しながら、カオルは言葉を続ける。
「『武器』が足りない。ワタシの可愛い青葉の愛刀〈薫風〉があれば最高なんだけど……あるいは何か、霊体に干渉できるようなもの」
「はいはーい、それならメイさん、一応妖怪だから、霊感はあるよ?」
「お前は武器じゃないじゃん」
「それもそっかー。……あ、ただの静電気で良ければ出せるけど?」
白神の右手が、電撃を纏う。それを見て、カオルは牙を剥くように口角を吊り上げた。
「『ただの静電気』? 馬鹿言うなよ妖怪。その毒気、ワタシが気付かないとでも思ったか?」
そう言われて、白神も瞳を蒼く光らせて笑顔を返した。
「行くよ、ワタシの可愛い青葉。一番薄いところから突き破っていく」
「あ、うん、カオル」
青葉はカオルに連れられて再び駅に入り、白神もそれに続いた。