「さっきの子たちは…」
「知るかよ」
老人が尋ねようとすると、ナツィはぶっきらぼうにそれを遮った。
ナツィは続ける。
「…多分、“お前”を狙ってここに忍び込んだ例の人工精霊なんだろ」
明らかに魔力の気配がしたし、とナツィは言う。
「ここには俺だけだったからよかったけど…」
“お前”がいたらどうなっていたか…とナツィが言いながら振り向くと、老人は悲しそうな顔をしていた。
「…なんだよ」
何か文句でもとナツィが聞こうとした時、老人はナツィに近付いてその頭に手を伸ばした。
「っ⁈」
ナツィは思わずそれを手で弾く。
老人は驚いたように手を引っ込めた。
「な、なんだよ!」
撫でんなってとナツィは声を上げる。
「俺は“お前”が思うほどコドモじゃないんだし」
そういうこと…とナツィはそっぽを向きながら呟きかける。
しかし途中で言葉が出なくなり、顔が赤くなってきた。
老人はその様子を見て少し笑った。
「と、とにかく、俺はさっきの奴らを追うから!」
“お前”はここで待ってろ!とナツィは吐き捨てると部屋から飛び出していった。
老人はその背を静かに見ていた。