その日の夕方、ハルパが役所の窓に飛び込んできた。
「うおっ……ハルパ、君かい。先ほど、君が行った例の都市にビーストが現れ、相当の被害が出たという話を聞いたんだが……」
対策課責任者の中年男性に、ハルパはサムズアップを示して扉から対策課を出て行った。
「ただい……うわぁっ!」
出入口にて、ビースト討伐業務から帰ってきたばかりのドーリィの少女とすれ違うと、少女はハルパの表情を見て悲鳴をあげ後退った。
「ただいまボス……ハルパちゃんすっごいニタニタし過ぎで耳まで口裂けてたけど何かあったの?」
少女に尋ねられ、中年男性は首を横に振る。
「いや知らんが……普段からあんなものじゃなかったか?」
「いやいや……普段と目力も全然違ったし。何か良いことでもあったのかな? あとボスはもうちょっと女の子の表情の変化に気を遣うべきだと思う」
「そう言われても」
「取り敢えず、こっちもやることはやったから、私はもう帰るね。報告はマスターがやってくれるはずだから。じゃ」
「あ、あぁ……」
少女が転移術で立ち去るのを、男性は困惑しながら見送った。