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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 6

ビーストが出現した場所から1kmほどの場所にある小学校にて。
ビーストの急襲により小学校は多くの人が集まる避難所となっていた。
「少年」
体育館と体育館の裏手を繋ぐ出入り口に座り込む少年に、青緑色の髪の少女は体育館の外壁にもたれながら話しかける。
「そんな顔してどうしたんだい?」
もしや同級生のドーリィを心配しているのかい?と青緑色の髪の少女は微笑む。少年はちらと彼女の方を見て、それはそうだけどと答える。
「…あなたのことを考えてたんです」
あなたがなぜぼくに絡んでくるのか、と少年は続ける。青緑色の髪の少女は目をぱちくりさせる。
「それって」
青緑色の髪の少女はそう言いかけるが、少年は遮るように続ける。
「最初は偶然だと思ったんです」
あなたが何かとぼくの前に現れるのは、と少年は淡々と言う。
「でも喰田(しょくだ)さんが…リコリスのマスターが“あの人はドーリィだ”って言ってきて、気付いたんです」
あなたがぼくの前に現れる理由が、と少年は青緑色の髪の少女を見上げる。青緑色の髪の少女は気まずそうな顔をしていた。
「…ぼくは、“あなたと契約できる資格のある人間”なんでしょ」
少年が静かに尋ねると、青緑色の髪の少女の目が泳いでいた。
「…そ、それはね、少年」
「ごまかさないでください」
あなたにとって、ぼくは“適正のある人間”なんですよね?と少年は立ち上がる。青緑色の髪の少女はうぐぐ…とたじろぐ。
「もう嘘はつかないでください」
全部バレてるんですよ、と少年は青緑色の髪の少女に詰め寄る。
「なんで黙ってたんですか」
言ってもよかったのに、と少年は呟く。青緑色の髪の少女は俯いたまま暫く黙っていたが、やがてため息をついた。
「…嫌だったんだ」
青緑色の髪の少女はそう言って地面に座り込む。
「“大事な人”を失うのが」
彼女はポツリとこぼした。少年は黙ってその様子を見つめる。
「…僕には、半年くらい前までマスターがいたんだ」
君より少し年上くらいのね、と青緑色の髪の少女は付け足す。
「彼女はビーストのせいで身寄りを失って、独りぼっちだったんだ」
そんな所に僕が現れた、と青緑色の髪の少女は続ける。

  • Flowering Dolly
  • ストーリーの長さ的に休日も投稿しないと
  • 終わりそうにないので休日も投稿します
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