「かすみ?」
主人にそう呼ばれてパッとかすみは顔を上げる。
「…あの、ピスケスや露夏ちゃんの所には」
「あぁ、鴻海(こうのうみ)さんの所には後で連絡するって…」
主人が言いかけて、かすみは突然自身が手に持つ箒を主人に押し付け部屋を飛び出した。
「かすみ⁈」
「ごめんマスター、ちょっとピスケスたちの所へ行ってくる」
階段の途中で振り向いてそう言ったかすみは、そのまま階下へと駆け降りていった。
「あ、待ってよ〜」
その様子を見たキヲンもかすみのあとを追ってぬいぐるみを抱えたまま部屋を飛び出していく。
その場には、喫茶店の主人だけが残った。