「ナハツェーラー?」
夜、白い壁の邸宅の玄関先で、青髪のコドモことピスケスは来てないわよと答える。
かすみはそうなの?と首を傾げた。
「ええ」
さっきも“あの人”に聞かれたけど、来てないわとピスケスは隣に立つキャップ帽姿のコドモこと露夏に目を向ける。
露夏は静かに頷いた。
「そうなんだ…」
かすみはそう言って俯く。
キヲンはかすみ、と心配そうにかすみの顔を覗き込む。
「…アイツ、“あの人”の研究室で妙な人工精霊と乱闘してたっていうんでしょ」
ピスケスが不意に呟いたので、かすみとキヲン、露夏はそちらの方を見る。
「それでその人工精霊たちは“あの人”を狙って来ただろうって言ってたってことは…」
ピスケスは腕を組む。
「アイツ、まさかあの街へ…」
ピスケスの言葉にかすみたちはえっと驚く。
「つまり、ナツィは1人でその人工精霊たちの所に行っちゃったってこと⁈」
「まぁそうなるわね」
かすみが声を上げると、ピスケスは淡々と答えた。
かすみはそんな…と暗い顔をする。