「動かないで」
近づくと撃つよとヤマブキは低い声で言う。
その様子を見た露夏はあの野郎…!と思わず歩き出そうとしたが、それをピスケスは手で制した。
「…あなたたちが噂の“魔術師を襲う”人工精霊ね」
ピスケスがフューシャたちに目を向けると、フューシャはあぁと頷く。
「“学会”には恨みがあるからな」
「恨みってなんだよ」
何かあったのか、と露夏は尋ねる。
フューシャは…そうだな、と言ってから淡々と語り出した。
「オレたちは元々、“学会”やそれ以外の組織の魔術師の使い魔だった」
フューシャは目を瞑る。
「だが主人との反りが合わなくて、オレたちは奴らから逃げ出したんだ」
そしてオレたちは出会い、仲間になったとフューシャは続ける。
「そうして暫く5人で暮らしていたんだが…」
「5人?」
お前ら4人じゃないのか?と露夏がここで首を傾げる。
フューシャは目を見開く。
「…本当は、オレたちは5人だった」
オレとヤマブキとドゥンヤー、鉄紺、そして…とフューシャは呟く。