ガバガバの考察だったが賭けてみる他ないのでやるだけやることにした。
「なんか火と燃やせるものある?」
「ライター…あと、爆弾…あ、火炎瓶ある!」
「OK火炎瓶でいこう。被害を抑えたいから火災報知器は壊さない。だから短期決戦だ。向こうの動きが止まらなかったらそのときはそんときってことで」
酷い指示をチトニアは健気に聞き入れ、入口付近へ飛び退くと野球選手の如きフォームで火炎瓶を持った。
「よっ…」
ぶんっと思い切り腕を振り抜く。チトニアの方へ向かっていたビーストは火炎瓶が飛んでくるのを察知して無理に軌道を変更した。
「あー…」「当たんなかった?」
元から当てるつもりではなかったがちょっと当てたかった。そんな思いがありつつチトニアの豪速球(火炎瓶)は病室の壁にぶつかり、割れた。ぶわっと広がる炎、それに反応した火災報知器が鳴り、水を撒き始める。ビーストは突然の温度変化に後ろを振り向いたり突然飛びのいたりと戸惑いを見せた。
「きた!」
チトニアは鈍くなったビーストの動きを見逃さなかった。腕をかき分け、目をぎゅっと瞑って器用につま先で腕の付け根を蹴った。