私が大夢先生におすすめしたい本は、周防柳さんの『八月の青い蝶』です。この夏休み、時間に余裕があったので久々に何冊か小説を読んだのですが、その中でも一番衝撃を受けた本でした。
この小説は、ある少年と広島原爆を題材にしていて、小説はその主人公がおじいさんになり、白血病で余命宣告を受け自宅へ帰ってくる2010年8月から始まります。自宅の仏壇にしまい込まれていた、右前翅が焼け焦げた青い蝶の標本を発端に、1945年8月に断ち切られた恋の記憶が、現代と交差しながら展開されていく物語です。
戦争を題材にした話は沢山ありますが、終戦後に軍人の子として、被爆者として、葛藤を抱えながら生き抜いた主人公の心情は、自分にとって新しく知る戦争の実情でした。描写が鮮明で、戦争のむごさと主人公の真っ直ぐな愛の対比が切なく、美しい小説でした。
大夢先生がもし本を読む機会があれば、ぜひ読んでみてください!