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繁華造物帰路 後

「だって他人を傷つけられそうになってあんなに怒るなんて、ナツィにしては珍しいもん」
かすみがそう言うと、ナツィは顔を隠すように外套の頭巾を前に引っ張った。
「…べ、別に好きなんかじゃないもん」
“あの人”がいないと俺はやってけないから、とナツィは小声で呟く。
かすみはその言葉を聞くとナツィの手を握る。
「でも、そういうことを1人で抱え込んで勝手に突っ込んでいっちゃうのはよくないと思うな」
かすみがそう言うと、ナツィは少しだけ顔を上げる。
「勝手にどっか行っちゃうと、自分たちも、“あの人”も、みんな心配するからさ」
だから無理はダメだよとかすみは続ける。
ナツィは…うんと頷いた。
それを見てかすみはまた微笑む。
「ふったっりっとっも〜!」
不意に明るい声が前方から聞こえたのでナツィとかすみが顔を上げると、キヲンが10メートル程前方で飛び跳ねながら手を振っている。
その後ろではピスケスと露夏が振り向いて2人を待っていた。
「ほら、行こうナツィ」
ジークリンデのこと、ちゃんとお迎えしてあげなきゃとかすみはナツィの手を引く。
「うん」
ナツィはそう答えてかすみの手を握り直した。

  • 造物茶会シリーズ
  • ホントは本編に納めたかったんだけど
  • 半端な感じになっちゃうので分割したんだ
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