「何故って?子供を放置する訳には行かないだろう?」
「…。」
子供扱いに少しムッとしたが、相手は大人だ。
当然と言えば当然なのだろう。
「と、言う事で!今から荷造り出来るかい?」
「何で?」
「何で、って、ここに居たら家屋が倒壊しかねないよ。移動するべきだ。君のご両親なら、何とかするから。」
「…わかった。」
そうと言うなら、さっさと荷造りしてしまおう。
今考えれば、見ず知らずの自称魔術師の大人に着いていくなど言語道断、犯罪者の格好の餌食になりかねない。
しかし、彼女の言葉は不思議と信用して良いと思えた。この人なら大丈夫だ、と。
まぁ、ここで着いて行かなければ、早々に餓死又は凍死していただろう。
そう考えると、妥当な判断だったとも言える。