琥珀は大型犬であった。狼と犬の間くらいの大きさや顔で、人々が彼の毛色を琥珀のような色だと口々に言うので、それを名前とすることにしたのである。物心ついたときから琥珀はブラックマーケットに住んでいた。
…正確には、住むというよりそこで売られては逃げ、別の人間に捕まりまた売られ、を繰り返していた。そうしているうちに白い子兎と出会った。引きずるほど長い耳と瞳が赤いのが特徴なので、瞳の色から林檎と名付けた。
『おい起きろ、そろそろ行くぞ』
鼻で突くと、林檎は起きたのか顔を上げた。
『おなかすいた』
『言うと思った。ほら飯』
林檎は長い耳をぴよっと跳ねさせた。
『ありがと。いただきます』
『ああ。早めに食えよ』
琥珀には特に大きな目的などはないが、もっと上の階層を見てみたいという純粋な好奇心はあった。だから売られても逃げる。懲りない。
『ごちそうさまでした』
『じゃ行くぞ』
琥珀は林檎の首根っこを甘噛みして歩きだした。
うわあ大昔に投げたフリー世界観が使われてるぅ!?
ありがてえ。とても嬉しいです。