小学生の頃、私は水泳教室に通っていました。
その水泳教室は私が通っていた小学校と違う学区にあったので、当然友達もいませんでした。
他の人達は友達と楽しく話しているのに、一人でいるのは自分だけでした。
ある日、ゴーグルを無くしてしまいました。
更衣室や広場などを焦りながら探していると、ある男の子が話しかけてきました。
その男の子は見覚えのあるゴーグルを差し出してきました。
それは私のものでした。
「ありがとう!」と私は言い、そこから少しずつその男の子と話すようになりました。
いつも1人でしていた準備運動も、点呼も、唱和も、2人でしました。
その男の子を通して、他にも色々な友達ができました。
名前は知っているけど、何歳かも、どこに住んでいるのかも知らない、優しい男の子。
その男の子は何も言わずに急に水泳教室を辞めてしまって、もうその男の子と会うことありません。ですが、あの日のお陰で水泳教室に通うのがより楽しくなりました。あの日のお陰でたくさん友達ができまし
た。