(それで、カオル? さっき何か掴んだみたいだけど)
青葉は心の中で、カオルに問い直した。
(あー、うん。あいつ殴っても『怪我』しないんだよ。先に『変形』しちゃうから)
(……結論だけ)
(多分……抜かなきゃ駄目だと思う)
「……マジかぁ」
「あン? どうした青葉」
近くに着地した青葉に、千ユリが尋ねる。
「〈煌炎〉を……抜かなきゃかもしれない」
「は? ならさっさとやれば良いじゃん。それ滅茶苦茶強いし」
「……いやさ、これ抜いて使うと何故か手の皮すごい擦り剝けるんだよね……全体的に。それこそもの持ったり手ぇ付いたりできなくなるレベルで」
「……なんで?」
「いや分からん……とりあえず、やるとしても確実に仕留められるってタイミングじゃなきゃ無理だと思う」
「……はぁあー? 何なの? アタシ以外全員生ゴミなの? 使っかえねェ…………しゃーない、隙ならアタシが作るから、逃すなよ?」
「ん」
悪霊に、再び“野武士”が迫る。刀を振り上げた右手首を悪霊が掴み、その手首は捩じ切れるように変形した。