「ココアシガレット」
駄菓子屋でよく売ってるやつだよ、とネロは答える。
「へぇ」
ソレ好きなの?とおれは何気なく尋ねる。
「…まぁね」
ネロは小箱から白い棒切れを取り出しつつ素っ気なく返す。
おれはそんなネロを眺めていたが、ふとある事を思いついた。
「なぁネロ」
おれが話しかけるとネロはココアシガレットを咥えつつ、ん?と反応する。
「お前おれの事手伝ったらソレ買ってやるよ」
ココアシガレット、好きなんだろ?とおれは聞く。
「…」
ネロはココアシガレットを咥えたまま暫くポカンとしていたが、やがてこう言った。
「別に、良いよ」
コレ買ってくれるなら、とネロは笑う。
「よしじゃあ行こう!」
おれがそう言うと、ネロはうなずいて外階段を駆け下りた。