(そうか、そういえばカオルの姿を見せたのってメイさんくらいか……今出れる?)
(力不足かなぁ)
カオルの返答に青葉はしばらく考え込み、千ユリに手招きした。
「あン?」
「千ユリ。適当に攻撃くれる?」
「…………“野武士”」
武者の霊の放った斬撃を、青葉の背後から伸びてきた機械人形風の左腕が受け止める。
「えっと……紹介します。〈薫風〉の付喪神、カオルです」
「ワタシの可愛い青葉ぁ……こういう呼び方はあんまり感心しないなぁ……」
背中から覆い被さるように出現したカオルの上半身に、他3人の注目が集まる。
「彼女は私に降りかかる霊障などを吸収してくれるようでして……」
「へェ?」
青葉の説明に、種枚が楽しそうに反応した。
「……何さ。あんたは『ただの人間』みたいだから良いけど……じろじろ見られるのってあんまり気持ちの良いものじゃないんだけど?」
「あン? そりゃ失敬。しかしまァ、私が人間と分かってくれるたァ嬉しいねェ」
からからと笑いながら近付き、種枚は青葉の両肩に手を置いた。
「しかしまァ、君も随分と面白くなってきてるじゃないか。身内に引き込んだのは正解だったよ。これからも精進しタマエ」
「え? えっと、まあ、はい……」