石段を駆け下りた平坂の目に映ったのは、大量の怪異存在の行列だった。そしてその先頭を歩いていたのは。
「はーいみんなー。ここはわたし達のリーダー【水行】“潜龍”さんがいる神社だよー」
白神鳴その人だった。
「……おい貴様」
「んー? あらリーダー。こんばんはぁ」
「百鬼夜行を引き連れて、何をしている?」
「ん、そりゃあ勿論、〈五行会〉に引き入れた妖怪のみんなを案内してたんだよ。こちら総勢43名、これからはわたし達の仲間だからよろしくね?」
「………………」
平坂は何か言いかけ、口を閉じ、天を仰ぎ、白神に向き直った。
「……分かった、覚えておく。普段は人界から離しておけよ」
「りょーかい」
「……ところで、貴様…………今『43名』と言ったな?」
「ん? うん」
「にしては、多くないか」
「はぇ?」
白神が背後に立ち止まる行列を振り返る。指差しながらその頭数を数え始め、やがてその動きも止める。
「駄目だ、いっぱいいるから誰を数えたか分からなくなる……そうだ、ばんごー!」
怪異存在達は1体ずつ順番に数字を述べ、その数は「49」で止まった。
「……多くない? なんで分かったの“潜龍”さん」