朝、小鳥たちが囀り始める頃。
マンションの一室で静かに若い女…寧依が朝食のロールパンをかじっている。
パンを食べつつ彼女がスマホの画面を見ると、時刻は7時56分を示している。
そしてその様子を、ツノの生えた金髪のコドモがローテーブルを挟んで眺めていた。
「…」
金髪のコドモの視線が気になって、寧依はロールパンを口に運ぶ手を止める。
「どうしたの」
寧依が尋ねると、金髪のコドモはううんと首を横に振る。
「なんでもないよ」
金髪のコドモの言葉にそうと答えて、寧依はまたロールパンを口に運ぶ。
暫く2人の間に沈黙が流れたが、不意に寧依がねぇと呟いた。
金髪のコドモは?と首を傾げる。
「…あなたのこと、なんて呼んだらいい?」
「ふえ?」
金髪のコドモはどういうこと?と驚いたような顔をする。
寧依はいや、ね、とそっぽを向く。
「シンプルにあなたのことどう呼んだらいいのかなって」
寧依の言葉に金髪のコドモはえー、と返す。
「ボクの“お母さん”なのにそういうのも分かんないの〜?」
どうして〜⁇と金髪のコドモはじたばたする。