「あの子、なんだか面白そうだったから」
「理由になってないぞ」
「うふふふふふふ」
露夏に睨まれてもピスケスは口元を手で隠しつつ笑う。
露夏は呆れた顔をしたが、ふとあることに気付いた。
「あれ、そういやさっきの子は?」
「え?」
露夏の言葉でピスケスが後ろを見ると、先程までそこに立っていた金髪のコドモが姿を消している。
「いない…わね」
ピスケスは能天気に目をぱちくりさせるが、露夏は慌てたようにヤバくね⁇とこぼす。
「あの子、造られて間もないんだろ⁇」
この世界のこと全然分かってないから面倒ごとに巻き込まれたら…と露夏は焦る。
「随分心配性ね」
「当たり前だろ」
歳下が困ってたら助けるのが歳上の義務だからな、と露夏は腰に手を当てる。
「ほら、探しに行くぞ」
空間中に残る魔力から追跡できるんだろ、と露夏は言いながらピスケスの横を通り過ぎる。
ピスケスはそうねと呟いて露夏に続いた。