「お前のことなんか心配してないし」
とにかくかすみと一緒にその辺隠れてろとナツィは言う。
金髪のコドモはうんと頷くとかすみと共に近くの建物の陰に隠れた。
「…」
ナツィは目の前の“何か”に向き直ると、服のポケットから鞘に収まった奇妙な形の短剣を取り出す。
そして短剣を振って鞘から抜くと、目の前で威嚇している“何か”に向けた。
「失せろ」
ナツィがそう言うと、短剣から紫色の火球が撃ち出され“何か”に直撃する。
“何か”の目の前が煙幕で見えなくなった隙を突いて、ナツィは短剣を投げ捨てて右手に大鎌を生成すると“何か”に飛びかかる。
すぐに煙が晴れて“何か”は目の前にナツィが迫ってきていることに気付き、“何か”は咄嗟にそれを避ける。
しかしナツィは黒い翼を羽ばたかせて高く飛び上がり、空中で姿勢を整える。
そして再度翼を羽ばたかせて地上に向かって飛び込んだ。
“何か”はナツィの動きに驚いて動けなくなり、そのまま大鎌に斬り裂かれた。
ナツィは地上に舞い降りると大鎌を一振りする。
大鎌は音もなく消えていった。