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無銘造物再誕 Act 31

夕方、辺りが薄暗くなった頃。
レンガ造りの大学の校門の前でピスケスと露夏が立ち話をしていた。
「ホント、全然見つからなかったなぁ」
あの子、と露夏は地面に座り込みながら呟く。
「空間中の魔力を追跡したけど、時間が経っちゃって薄れてたし」
これじゃあ保護者に合わせる顔がないよーと露夏はため息をつく。
「まぁ、もしかしたらふらっと帰ってくるかもしれないし」
ここで待っていても大丈夫だと思うわとピスケスは校門にもたれながら露夏に目を向ける。
「一緒にいた人が迷子になった時は下手に動かない方がいいとか言うし」
「お前が言うな」
のん気なことを言うピスケスに、露夏は冷たく言い放つ。
「保護者に内緒であの子を連れ出しておいて何言ってんだよ」
「あら、私はあの子に頼まれただけよ」
「サイテーだなお前」
2人が暫くそんな会話を交わしていたが、やがてピスケスがあ、と声を上げる。
露夏が顔を上げると、目の前の通りの右奥の方から3人のコドモが歩いてきているのが目に入った。

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