バスの中でも、その人は一緒だった。 満員のバスでは、立っていることもやっとだ。 私はおきにいりの作家、西田そうたの小説で顔を隠しながら、ちょくちょく彼の様子をうかがった。 彼とは少ししか離れていなかったのに、話しかけることができなかった。 バスを降りると、彼は傘で顔を隠し、私よりもずっと速いスピードで歩いて行ってしまった。 結局、一言も話さず学校についた。