人間と目が合って、琥珀は唸った。背中から生える触手のようなものが琥珀の首根っこを引っ掛けて持ち上げる。…よく見るとその触手のようなものは虫の足だということが分かった。
『…蜘蛛か?』
人間の背中にはでかい蜘蛛がいた。背中と蜘蛛は白っぽい糸で繋がっているらしい。
琥珀はびっくりして大きな蜘蛛の足に噛み付いて抵抗する。
「あれ…?子供じゃない…」
人間は気にしていない。背中の蜘蛛は、痛かったのか足を引っ込める。
琥珀は脱兎の如き勢いで林檎の滑っていった方向へ急いだ。
『あんな大きさの蜘蛛がいてたまるか…』